世の中には冷静で知的な人間もいれば、幼稚で稚拙、瞬間湯沸かし器のようなケダモノもいます。
人間は社会性を身につけTPOに応じた対応ができ、論理的で筋が通った話をします。ケダモノは感情のまま生き、支離滅裂な理屈をこねて本能のまま生きています。
なぜそのような違いができるのか、人間になるには可能なのか、どうやって自分をコントロールすればよいのか。
もちろん経験によって人間は成熟していくのですが、それにはとても時間がかかるもの。しかし、時間が無くても経験が不足していても考え方一つでもかなりの変化を起こすことができます。
この変化のための視点を持つのに面白くて役に立つ理論があるのです。
それをこの記事で紹介していきたいと思います。
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ポール・マクリーン博士による『3位一体脳理論』
その理論とは、1990年代にポール・マクリーン博士が提唱した脳についての考え方です。
博士によると、人の脳は大きく分けて3つの部分に分かれているそうです。
そして脳は、
- 爬虫類のように、本能を
- 動物のように、感情を
- 人間のように、理性を
司るようになっています。(分かれているのはあくまでも概念として)
3つの脳の種類と役割とは?
上記の3つの脳の役割について説明していきます。
まず生き物には最も原始的な爬虫類脳があります。これは太古から人間の本能を支配してきた根源的な部分で、爬虫類脳と呼ばれます。
爬虫類脳-本能をつかさどる原始的な脳
爬虫類脳は、反射脳・物理脳ともいわれます。主に生存本能を司り、生き延びること、繁殖することを目的としています。そのちからは非常に強力で、人は本能には逆らえないといわれるゆえんです。
その爬虫類脳のまわりに、より進化した動物脳があります。
動物脳-感情と情動をつかさどる意志ある脳
爬虫類脳の周りに、感情系を司る動物脳があります。動物脳は、感情脳・情動脳ともいわれます。感情系を司る脳です。自分の感情、他者の感情を重視し理屈が通じない行動をとることもしばしばあります。
最後に、動物脳のまわりに、最も進化し思考することに長けた人間脳があります。
人間脳-思考し自分をコントールすることができる理性の脳
最も後から進化した脳が、人間脳です。人間脳は理性能・分析脳ともいわれます。論理的に思考し、理性に根差した行動をとる最も人間の賢明さが表れた脳です。
3つの脳が合わさり、人間として個性の形成してゆく
本能的に行動する人、感情移入が激しい人、論理的に考える人・・・
人はどの部分も多少なりとも持ってはいますが、その割合は異なります。そして多くの人はどれかに偏っていて、完全に1/3ずつというわけではありません。
その分量によって性格の違いがでたり価値観の相違も起こったりするわけです。個性であり、強みであり、才能であり、優位性でもあります。
3位一体脳モデルを踏まえた実生活への適用を考察
さて、ではこの理論を踏まえて、実際の生活シーンでどう判断すればよいかを考えてみましょう
実生活で各脳をどのようにコントロールすればいいのか
理屈だけ分かっていても、実生活に活かせなければ価値は半減します。いくつかシーンごとのケースを挙げてみますので、このようにするのはいかがでしょうか。
爬虫類脳への対処
- 考えるより先に暴言を吐いた、考えるより先に手が出てしまった
- 目が合っていきなり絡まれた
- 会話の途中でいきなり相手が、激高した
これらは爬虫類脳が優位になっている状態といえます。もしくは爬虫類脳の割合が高い人なのかもしれません。考えることなく瞬間的に脊髄反射、生存本能で行動している状態です。
もし自分が爬虫類脳の状態になっていたら、まず冷静になることを考えます。冷静になるための有名な事例とひとつ上げるので参考にしてみてください。
フランクリンコヴィーが気づいた爬虫類脳への対処法
7つの習慣で有名なフランクリンコヴィーはある日「刺激と反応の間には隙間がある」ことに気づきます。その隙間は選択の自由であり、外部からどんな刺激を受けようともそれに対する対応は自由意志で選択できると気づきました。これに気づいてたことが7つの習慣のきっかけになります。
この刺激とは外からの働きかけ、反応とは爬虫類脳的な脊髄反射のことです。反射する前に考えられるということを知ったあなたはもう大丈夫です。
もし相手が爬虫類脳の反射状態にあれば、この場面では理屈も話も通じないと考えます。
相手が悪いとか理屈に合わないとか筋が通らないとかは二の次にすべき場面です。寝そべっているトカゲのしっぽを踏んだので怒っている状態と同じです。しっぽ投げ出してるからトカゲが悪い、という理屈は通じません。
できればその場を離れるか、気をそらす、敵意が無いことを示す などの対処法があります。
なぜ自分が・・と納得できないかもしませんがそういう感情はいったん脇に置きましょう。相手は爬虫類だから仕方ありません。論理的な人間の取るべき最良の選択肢が「非論理的な対応」である場合もあります。
動物脳への対処
-
- ダメだとわかっていることをどうしてもしてしまう
- 相手が正しいのに受け入れられない
- 道理に合わないことなのに納得してくれない
- 泣いている子供にどうすればいいかわからない
これは動物脳が優位な状態、もしくは動物脳の割合が大きい人です。
動物脳の相手に、人間脳で説得しようとしてもレイヤーが違う場所に色を塗ろうとしているようでかなりの確率で徒労に終わります。男は論理的女は感情的という視点にたった男女のすれ違いがよくあるケースです。
相手が感情的なのであれば感情には感情をもって対応するのが適切です。
理屈を述べるのではなく「私は悲しい」とか感情をメインにした対処をとります。理論的ではなくても構いません。対爬虫類脳の時のように、戦略的に「理論で対処しない」という戦術を取ります。
脳タイプでみる「怒る」と「叱る」の違い
怒ると叱るの違いについて、一般的な解釈では「自分本位は起こる・相手への配慮があれば叱る」と言われています。
これを3つの脳モデル的に考えると「起こるは爬虫類~動物脳レベル。自分がそうしたい、そうなってしまって相手に攻撃する、感情を止められない。一方、叱るは人間脳レベル。相手より広い視野で物事を考えたうえで相手のために話すもしくは怒っているふりをする」と解釈することもできます。
人間脳への対処
冷静的な人間脳でも、それが適切ではない場面というものはありえます。
- 怒っている人に対して理屈で対処している人を見かけた
- 相手の言うことは頭でわかるが心が拒否する
など。動物脳状態の人から見ると、人間脳状態は冷徹で理屈やにも思えます。
もし自分が感情脳状態で、相手が人間脳であれば、人間脳での対処を少し混ぜてみる方法があります。
たとえば
「言いたいことはわかる正しいというのもわかる、でもいまはこうなのでこうしてほしい」
「今は自分では感情的でそれがわかっている。時間をおかせてほしい」
など。これで感情脳と人間脳が両立できます。すると人間脳の相手も、理解してくれやすくなります。
【冷静さ・客観性・論理性】が身につく!脳の部位への認識とフォーカスのやりかた まとめ
- 脳には3つの部位がある
- 本能、感情、論理を司る部位である
なので、そのことを一段上の意識から認知するようにできれば、
- 自分をコントロールできる
- 相手への対応を意識的に選択するようになれる
- 理知的で視野が広く論理的な大人になれる
といった成長を遂げるきっかけにできます。
この3一体脳についての本はいくつかありますので、おすすめのものを2つ挙げます。一読の価値はある本です。
ひとりでも、客観的な視点を持ち自分をコントロールできる人が増えていけば仁幸です。
おそらくこちらが原書です。プレミアがついているようで購入タイミングによっては数万円しするようです。
ジュラシックコードという書籍もオススメです。難解な言い回しは少なく、物語風味の味付けもされているので読みやすくなっています。